江戸時代に名古屋を治めていた、尾張徳川家の殿様たちのお話です.


by fouche1792
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海音寺潮五郎  『吉宗と宗春』

東海雑記にアップした記事を加筆訂正したものです>

痛快無比な宗春を読むなら、コレ!

宗春を主人公にした小説は何点か出ています。
特に1995年、NHK大河ドラマで「吉宗」が放映された頃は名古屋でも宗春ブームが起こり、名古屋祭りの郷土英傑行列(市民が扮した信長・秀吉・家康のパレード)にも宗春がゲスト出演。
宗春本も増えました。

それ以前は実は忘れられた存在として、歴史書に出てくるか、時代劇、時代小説の悪役としてちらっと出てくる程度でした。
その頃早くも宗春を真正面から取り上げ、主役とし、単なる吉宗のライバルでなく、それなりのポリシーを持った人物として描いたのが、海音寺潮五郎さん『吉宗と宗春』です。
おそらく初めてまっとうに宗春を描いた小説ではないでしょうか。

題名も私が記憶するだけで4回変わっています。

『尾張藩勤皇伝流』→『風流大名』→『宗春行状記』→『吉宗と宗春』。

その時代、時代で記憶に残りやすい題名にしようという工夫がうかがわれます。海音寺さん死後の改題もあったでしょうが。

海音寺さんは豪快な男、ひたむきな男を描くのが特にうまく、平将門、上杉謙信、西郷隆盛などの傑作小説をかいていらっしゃいます。昔は司馬さんと人気を二分していましたね。
そんな海音寺さんの描く宗春はやはり豪放なそして優しい男。一緒にいるとこちらまで楽しくなってしまうような、名前のとおり春を感じさせる風のような男です。
対して吉宗、大岡忠相などは自分にも他人にも厳しい為政者として描かれています。
そう、「暴れん坊将軍」のイメージと全く逆になっていますね。

もちろん、これは歴史小説であり、作家のフィクションです。
作中宗春は吉宗暗殺を企む旧家臣をさりげなく援助したり、大規模な巻狩りを企画して幕府に叛乱を起こそうとすることが暗に書かれております。史実と作家の想像をたくみに交えた、読んでいて楽しいフィクションです。
実際の宗春は以前書きましたように、理想が先走り、政治家としては吉宗にはかなわない男でしたが、この小説では吉宗を上回る男として描かれています。
おそらくこの本を読んだ殆どの人は宗春のファンになることでしょう。

スケールの大きな、かっこいい宗春を感じてみたい方にお勧めです。
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by fouche1792 | 2005-09-27 10:53 | 尾張徳川十七代